生誕120年 藤田嗣治展

日本初公開20点を含む約100点の美術展が東京・京都・広島で
開催されるそうです。

藤田の作品はほとんどを画集でしか目にしていません。
それが、初期の作品から中期、晩年と間近で見ることができるのだと
思うと、心躍るこの嬉しさ!

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藤田に優しくなかった日本。ご遺族の心を頑なまでに閉ざさせてしまっ
た長い年月。我が国はなんて馬鹿なことをしたのでしょう!


清岡卓行の「マロニエの花が言った」には、両大戦間のさんざめくパリ
を通り過ぎて行ったエコール・ド・パリの仲間達、シュルレアリストたちが
膨大なエピソードをもとに群像劇のように描かれていましたけれど、そこ
に藤田の青春もありました。

登場人物があまりにも多すぎて、え?私は今誰のエピソードを読んでい
るんだっけ?とこんがらがることもたびたびでしたが、著者は当時のパリ
の芸術家たちとの親交を網羅していた藤田を狂言回しのように選らんだ
のだとか。


藤田の「三人の美の女神」のうちの一人はイザドラ・ダンカンがモデルだと
言われてますか?
このイザドラの事故死をジャン・コクトーは自らの戯曲で

イオカステ 「あなたの足ですよ、ジジ! あなたはわたくしのスカーフを
踏んでいるのです」

とギリシア悲劇に投影させずにはいられなかったらしく、この後は延々と
オイディプス論が繰り広げられて、あれ?藤田はどこ行った?もう何を読
んでいるのか、話はどこへ飛んでいくのか、なにがなんだか分からないう
ちに読み終わった本でした、なんて言いたくないので、いつかまた丁寧に
読んでみよう太陽