ナイロビの蜂」を見に行くけどと、たぷろうさんをお誘いしたところ
軽~く断られてしまったので、一人で近くのシネコンへ。
観客8人、おぉ盛況じゃないですかと安堵しながら席につきました。

いつだったか、観客私一人だけの時がありましたからね。
座席の陰に悪者がひそんでいないか、そのひそんでいる者に後ろ
から突然首でも絞められないか、気が散ってスクリーンに集中する
ことができなかったことを思うと、8人は家のリビングで見ている感覚
で良好でした。

ジョン・ル・カレの原作は確かに政治サスペンスでした。
がこの映画はほとんどラブストーリー。
妻の軌跡をたどっていきながら、夫婦愛を完結させるといった物語
になっていました。

冒頭、何も映し出されていない真っ暗なスクリーンから聴こえてくる
レイフ・ファインズの声に、久しぶりのレイフだ、寿美礼ちゃんの声に
も似て美しい。。と、しょっぱなからうっとり。
それもすぐに、アフリカ最大のスラム街を見せられることにより、心
が晴れることのない重苦しい現実が物語に絡んでいることを知るの
ですが、これは政治と企業の癒着、大国のもとで犠牲を強いられて
きた貧しい国との外交問題など、今もどこかでと思わせるドキュメン
タリーを見ているようでもありました。

レイフ・ファインズはガーデニングを趣味とする英国外交官。
その妻は、不正なことを嗅ぎだしたが最後どこまでもくらいついてい
く活動家。レイチェル・ワイズが強靭な意志を持つ女性をチャーミング
に演じていました。

この夫婦の魂がやっと一つに結びつくところであるトゥルカナ湖の美
しさが忘れられません。
アフリカの乾いた大地の果てに忽然と現れる湖。
水鳥の群れの飛び立ちは、二人の魂の昇華のようにも思えました。