やまちゃんがマラケシュに行くと訊いて、リュドヴィークがオリガに
別れを告げた城門の絵葉書でお便りちょうだいと所望した。
旅先では何かと忙しいでしょうから無理しないでいいのよ、とは言
い忘れた。

昨日届きました。遠いアフリカの地から。

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わき腹を刺されたリュドヴィークは、この石壁にもたれるようにしな
がら、「(幸せは)すくなくともここにはない、この地上のどこにも」の
言葉を残して砂漠に消えていったのだわ。
お互い声が届く位置にいながら、オリガの目にリュドヴィークは見え
なかったのだろうか?との疑問が未だにもやもや。
わざと見ないふりをして、私たちのリュドさまを見殺しにしたのでは?
恨めしくもあるあの城門。
やまちゃんは手でふれてきたのだろうか?


ところが文面には「この門かな?」。
これだけ。。。これだけ。
おおいなる空白の下にサインは確かにある。
空白部分は炙り出すのか?照明にかざして読み取るのか?

きっと、目一杯旅を楽しみホテルに戻るとバッタンキュだったか、
何枚も旅報告を書いているうちに力尽き果てのどちらかだと想像する。