未だトンネルから抜け出せないでいるギブリ。
引きこもってDVD三昧の日々。
録画したオサさんの「Celebration」なんて50回は見たものね。
これからだなと感じるのは「洗練」。←生意気言いました。


何年おきかで見たくなるのが手持ちのこの2作。
 「ミツバチのささやき」
 「エル・スール」
ビクトル・エリセ監督。
十数年前になる? この監督を教えて下さったたぷろうさんには
感謝よ。

63e327df.jpg


「ミツバチのささやき」は、物語の中に散りばめられた謎にも魅了
されて、映画上演とセットで行われた蓮實重彦氏の講演まで聴き
に行ったりした。
さすが東大総長(当時)蓮實氏、講演の内容とこちらが知りたいこ
との接点はなく、謎はさらに深まったまま今にいたるのだけど。
たぷろうさんに言わせれば、謎は追求しない!のだそうだ。

「エル・スール」のエストレリャが、父親の部屋の机の引き出しから
父の秘密を感じ取る姿は、子供の頃の私とかさなる。
父の書斎に忍び込み、机のずしりと重たい引き出しをひとつひとつ
音をたてないよう慎重に引き出して、中を探ったりしたものだ。
あの頃の私は、何か探りたい目的でもあったのか?

エストレリャが見つけた父親の秘密。
それは、少女の頃の限られた世界から未知の世界へ踏み出す扉だ
った。

スペイン内戦で疲れ果て傷ついた心を抱えている大人たちをよそに、
見開いた目で新しい世界を求めていく少女たちのなんて豊かな感受性。
時代は悲惨でも、明日を見つめる若いまなざしがある。

両作ともに背景は内戦後のフランコ政権下。
台詞で語らずとも伝わってくるエリセの魂の大なることよ!! 
こんな静謐な映画が大好きなのだ。