2009年10月

流れる川は


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サンクトペテルブルク、バルト三国を旅しているヤマちゃんから、
絵はがきが届いた。
ラトビア共和国の首都リガの旧市街。
向こうを流れる川はダウガヴァ川ね。

子供の頃から川の名前が大好きで、小学生時代に世界中の首都
を書き込む宿題が出た時に、トンチンカンにもその国に流れる川の
名前を書いて提出したものよ。
たんに川の名前が持つ響きに関心が向かうだけのことだったので、
子供によくいる鉄道博士とか虫博士とかとは違って、川の長さだと
か深さだとか、周辺に及ぼす影響だとか、もろもろに関知せずのス
タンスでのお気楽さ。

なかでもパラグアイに流れるパラナ川をどうして知ったのか、パラナ、
なんてステキな響きなの、むしょうに惹かれるわ。恋しいわ。
小学校卒業の時に級友とかわしたサイン帳に、私ってばペンネーム
のつもりなのかパラナって記してるのよ~バカバカ。

大人になって、グレアム・グリーンの「名誉領事」を読みはじめたその
瞬間、忘れていた思いがよみがえり狂喜乱舞におちいった。
子供の頃、あれほど恋焦がれた川にーーー!! 川に再会!!
主人公のドクター・プラーが住むアパートがパラナ川に面していたのだ。

「名誉領事」が映画化された作品(邦題「愛と名誉のために」)も見て
みた。映画の評価も主人公リチャード・ギアの評価もペケだったらしい
が、よくてよ。
原作どおり、主人公が川のほとりに建つ古びたアパートに住んでいた
だけで満足。実際、撮影はどこの国でおこなわれたのか知らないが、
彼の部屋の窓から望める川、一応あれはパラナ川なのねと、その気に
なって感激しておいた。

ロシアのネヴァ川、
ブルガリアのマリッツア川、
旧ユーゴのサヴァ川
嗚呼、川の名前を念仏のように唱えているだけで幸せ。

Eonnagata(女形)

昨日はお茶会。
諸事情で参加できず。
お逢いしとうございました麻実ターコさま。

いつからかHDDに収まっていた「エトワール最後の60日 ~マニュ
エル・ルグリ~」をDVDに落として、強制的にSさまに見て頂くべく
お送りしてしもうた。
オペラ座のエトワール、ルグリが最後のステージを終えて言葉にし
た万感の思い。子供の頃から一筋にめざしてきて、頂点に立った者
が去っていく時の言葉はいたってシンプルだった。
オサさんのさよならを思い出すではありませんか。


その夜ふとTVをつけると、シルヴィ・ギエムがベルサイユ宮殿の庭園
を歩いていた。
オペラ座から早々と飛び出したシルヴィ・ギエムのドキュメンタリー番
組「シルヴィ・ギエム~限界への挑戦~」だった。

宮殿を管理する庭師に、「大好きな日本の牡丹には、雨よけも作って
あげているわ」なんて言ってる。
日本の美学、繊細な美意識を理解する一人なのだ。

後半のほとんどは、春先にロンドンで上演された「Eonnagata」(女形)
の初日を迎えるまでを追っていた。
私といえばマルグリットで頭が一杯の頃、その昔東京バレエ団で踊
っていた義姉が、即完売だったこの作品のチケットを確保してギャオ
ギャオはしゃいでいたっけ。

「Eonnagata」(女形)は、ギエムとロベール・ルパージュ、ラッセル・
マリファントとのコラボ。
ルイ15世16世の時代の外交官でスパイ、男として生まれながら生涯
の半分を女装して過ごしたシュヴァリエ・デオン(女装するドレスはマ
リー・アントワネットから贈られたとか)を描いた作品。

軍服以外に、日本の扇を手に着物をはおり、剣を使っての迫力ある
殺陣。この和テイストがなんとも官能的だ。
幻想的な陰影を映し出す照明、シンプルな舞台。

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迎えた初日。
ギエムはメイクのために鏡に向かいながら「震えをとめる気力が
必要だわ」。
ギエムにして、必死に身体のバランスを保っていなければ倒れて
しまいそうになるほど本番前は「怖いもの」なのだ。

番組の最初から見たかった。
輸入版DVD、私きっと買うだろう。

不謹慎ながら

母の部屋にあった週刊新潮の「墓碑銘」で、庄野潤三氏の訃報を
今頃知った。

阪田寛夫氏と親しかったからか宝塚がお好きで、何度か劇場で
お見かけしたこともあった。
そういえば、阪田氏のお嬢さんのなーちゃんを、大浦みずきと名
づけたのは庄野氏ではなかったか?
著書には、観劇される日を心待ちにされている様子や、ご贔屓ス
ターへの差し入れをご夫妻でわくわくしながら選ばれたり、ファン
クラブの代表さんとの会話までも綴られて、それはもう微笑ましく
読ませていただいていた。

須賀敦子がミラノに住んでいた時代、日本文学をイタリアに紹介す
るにあたり、庄野潤三氏の作品のなかからも「夕べの雲」をイタリア
語に訳している。
それは「Nuvole di sera」として、1966年にフェッロ社より刊行さ
れた。イタリア人の日本文学通は、60年代には庄野文学にふれて
いたのだ。

戦後派作家の後に続く「第三の新人」と呼ばれた作家たちも、次々
と鬼籍に入られていく。



吉行淳之介など好きだったなぁ。
著書よりも容姿が好みだったりするのだけど。
淳之介に森茉莉が絡むと、もっと好きになった。

シャルル・ド・ゴール空港がまだ開港していない時代、かなり昔よね。
オルリー空港(だったと思う)で、恋人のMがあっちから、妻子のいる
淳之介がこっちから走りよって抱き合い、キスをしたという話には、
「おっ、やりますな」と嬉しくなった。
別に不倫を推進している訳ではありません。

日本人が、いくら外国の地だからといっても、人前でキスなんかしな
い時代によ。
男と女、シャバダバダ~♪でも流したい光景だ。

いつの間にか、あっちから駆け寄って来るのが私にかわっていたり
して。まぁ相手がMだったからポイント高い。
Mじゃなかったら、たとえば銀座のクラブのママとかだったら、当たり
前にあり得そうでふ~んで終わるところだった。

そして鷲は気高い

大型台風が接近中とあって一日中雨降り。

HDDにたまりにたまった70時間分の録画の整理には途方にくれる。
ディスクに落とすもの、削除するもの、分別にあたりざっとながらも
再生を試みると、その場で見入ってしまったりで作業がはかどらん。


今夜は「ハプスブルク帝国」シリーズ3回でお勉強。
何回か放送されている番組だと思う。

スイスのひなびた村の領主にすぎなかったハプスブルク家が、どの
ようにして領土を拡大し巨大帝国を造り上げたのか、そしてその領土
をどのように失っていったのかが、ぼんやりとした理解からしっかり
と頭に刻み込まれたぞ。。。のつもり。
アメリカの大統領の選出方法も、4年経って次期選挙になった時には
もう忘れている。。。憶えては忘れ憶えては忘れ、まぁ今回もその類だ
ろうが。

第1回 双頭の鷲の下で。
番組冒頭、Tシャツにパンツ姿でありながら、なにやらやんごとなき
血筋オーラに輝く初老のご夫人がイーゼルを引っ張りながらご登場。
カンバスには描きかけの眼光鋭い鷲の絵。

ステファニー・ヴィンデッシュ・グレーツ。画家。

『皇帝フランツ・ヨーゼフとシシィは曾々父母にあたります。
国籍はパスポートのことを言っているのならベルギーよ。
気持ちのうえでの国籍はどこでもないわ。
民族のことを言っているのなら1000年以上も前にスコットランドと東洋
が混ざっているから、どこに属している気もしない。
どこにでも属しているともいえるわね。』
カメラを見据えてかすれた声でおっしゃる。


情死した皇太子ルドルフの遺児エリザベートの初婚の相手がオットー・
ヴィンデッシュ・グレーツだったと、ここまでは知ってる、つもり。
塚本哲也氏の著書とか翻訳本の「赤い皇女エリザベート」とかとか、
ハプスブルク帝国がマイ・ブームの時には、お約束のように読み漁り
ましたわよ。 
でも本当のところは、ハプスブルク帝国そのものよりも、須賀敦子が
イタリアのトリエステの町でふれたハプスブルク文化の残り香、旧ユ
ーゴのチトー大統領のエピソードなどから感じ取る、かつてハプスブ
ルクに属していた国に住む人々の帝国に寄せる郷愁のようなものの
ほうが、はるかに興味深かったりするんだな。


ということは皇太子ルドルフの曾孫にあたるのね。
ルドルフの面影はないか?思わず画面を見る目に力が入りましたとも。

  画家ステファニー・ヴィンデッシュ・グレーツの公式サイト ⇒☆
     追記(11/21):こちらは見ることが出来なくなっていますね。

  ヴィンデッシュ・グレーツ財団サイトのコンテンツで作品を見ることが
  できますのでこちらから。  ⇒☆

そうそう、番組ではこの鷲を描いている最中だった。

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なんだかシシィだとかルドルフって、知り合いみたいに身近感覚。
舞台の「エリザベート」や「うたかたの恋」の影響大でトッホホ~

サーシャ

サーシャの月例法要というのが、4日の日曜日に動物霊園であった。

お坊さんが「○○家愛犬サーシャ号」というように、亡くなったペット
たちの名前を読み上げてくれる。
何匹目かにサーシャという声。涙があふれてきたが、次の「△△家
愛猫ギャング」でウッ!と涙が止まった。
その次は「ハムスターのハムタロウ」だ。
ハ、ハ、ハムスターも霊園に葬るのね。
お坊さんの読み上げる声はいたって真面目だ(当たり前)。
不謹慎にも笑いそうになって肩が震えて困った。

私の前のオバさんは愛猫を見送ったらしい。
しゃくりあげているオバさんを見て、私も周囲をはばかることなく
もう一度泣いた。
どの子たちもみんな愛されていたのだなぁ。



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17年前のサーシャ。
三白眼の仔犬だったせいか、ペットショップで売れ残っていた。
人の顔を見ようとしないで隅っこにうずくまりうつむいているので、
夫が、身体が悪いんじゃないの?と私に囁いた。
それが聞こえてしまったのか店主が1万円まけるという。
すます怪しい。
でも私は、三白眼が気に入ってしまったのだ。
犯罪者ぽくていいわぁ~~

成長とともにノーブルになっちゃって。←親バカ。

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もう 10月

長い間更新を怠ってしまいました。
8月に入ってからというものサーシャの体調が思わしくなく、月末近く
からは毎日の点滴で命を繋いでいるという状態でした。
母の介護、他にもいろいろ降りかかってきた事が重なり、PCを開いて
もメールチェックだけで自分のブログは放置しっぱなし。

ギブリは生きてるのか死んでるのかはっきりせよとメールを下さった方
がた、ご心配をおかけしました。

過去の記事を読み、ひょっとしてひょっとした?と、飼っていらした愛し
い動物たちを亡くした時のお話をメール下さった方。
海外にお住まいのオサさんファンの方。
お話したこともお目にかかったこともない方々からお優しいメールを頂
きほんとうに有難うございました。

オサさんのコンサートのチケット4枚はぎりぎりまで持っていましたが、
泣く泣く手放しました。
客席に並んで興奮するはずだったSさま、お仲間ぁ~
観ることができなかった私に、見逃すところがあってなるものかと微に
いり細にいりご報告下さったおかげで、劇場の空気感までも我が肌で
感じることができました。

梅芸の千秋楽の翌朝、17年間そばにいてくれたサーシャは旅たちました。

命の終わりに立ち会うとき、いつも励まされるのはホレイショーの言葉です。

  天使の群れは音楽を奏でつつ 平和な天国まで
               あなたのおともをして参りますよ
       (誰の翻訳だろう?小田島雄志でも福田恆存でもない)

いざなってくれる天使たちと一緒だったら、きっと寂しくはないはず。
シェイクスピアの優しさに救われます。

あれから1ヶ月、もう喉の奥がゲェッ!となるまで声をあげて泣くのは
やめよう。
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