リリースされた頃に予約しておいたのが、今頃になってやっと順番が
まわってきた二作>楽天レンタル。
『ダウト~あるカトリック学校で~』 『ある公爵夫人の生涯』。

HDDが壊れたままなのに、DVDプレイヤーを修理に出せないでいる
のは、こうしてDVDを見たいがため。
PCはDVDを見るソフトが何故か立ち上がらなくなって、いったいどう
しちゃたのよぉ?

『ダウト~あるカトリック学校で~』

2005年のトニー賞プレイ部門で作品賞、最優秀演出賞、最優秀主演
女優賞・助演女優を受賞した作品を映画化したもので、監督と脚本は
原作の『ダウト 疑いをめぐる寓話』で、同年ピュリツァー賞(戯曲部門)
も獲得したジョン・パトリック・シャンリィ。

メリル・ストリープ嫌いのあの中野翠が、どこだったかに書いていた。
メリルはイヤな女に限る。イヤな女を演るとすごくイイのよ。好きなのよ。

確たる証拠もなく、疑惑だけで神父を追いつめていく修道女で校長の
メリル・ストリープ。
そのイヤな女を眼の動きで演じきってしまうメリルに圧倒されっぱなし。
追いつめられる神父のフィリップ・シーモア・ホフマン(最近好みに変化
がおきて、この役者大好き)も負けてはいません。
神に仕える者同志のバトルは息をのむほどに壮絶。

二人の成り行きを見つめる、修道女の若い教師のピュアな精神。
差別された時代を生きている黒人の生徒の母親。
それぞれの見せ場から、BWの舞台はこれら4人だけの室内劇だった
というのがうかがえる。

時代背景はケネディ大統領が暗殺された翌年だ。
公民権運動、第2バチカン公会議と、アメリカ社会がそしてカトリックの
精神世界が大きな変化を遂げていく歩み始めの時代であるところが要
なのだろうが、それらを考えなくても役者の技量で見ごたえたっぷりの
作品だった。

興味深かったのは、特典に収められていた愛徳修道女会のシスター
たちへのインタビューだ。
今は修道会によっては、ベールに修道服ではなく、シスターといえども
普通の服装なので一見して修道女かどうかの判断がつかない。
インタビューにこたえる4人のシスターたちも、紺やパープルのJKの下
はカラフルな色合いの装いだった。
余談ながら、母の学生時代の写真を見ると、写っているシスターの顔
は額も頬もほとんど隠れるぐらいベールで覆われ、これで動けるのかと
いうほどのそれはそれは重装備な修道服なのだ。
私や小豆が入学した時代は、かなり簡素化されていたが、それでも入
学試験の面接で、テーブルの向かいに居並ぶ黒づくめの修道服が不
気味で私は泣いた。

インタビューでシスターの一人がおっしゃる。
第2バチカン公会議は、服装だけではなくそれまでの修道会での生活
をがらりと変えた。
最初はゆっくりだったけれど、突然急激に変わりだした。
戸惑い「待って」「何のためにそうするの」と思うこともあったが、少しず
つ変化を受け入れてきた。もう元へは戻りたくない。

そうなのか。。。
教会からも修道院からも神が消えていく。曽野綾子の「不在の部屋」を
読んだときには結構衝撃を受けたぞ。
発売当時、曽野さんの出身校である聖心がモデルかと言われたが、
そうでもありそな、なさそな。
曽野さんは、世俗にまみれない精神の世界に生きる修道女たちのあり
かたを問いたかったのであろう。

映画の中でもチェンジという言葉がとびかう。
時代が大きく変わるとき、新しい空気をいちはやく取り入れられる者と
それを苦々しく思う者。そこにはぶつかり合う精神が生じる。
神に仕える者を描いているだけに、そのような時に神の存在は?と気
になるところだ。
終盤、修道女にも神父にもいい台詞が用意されていて、DVDを買って
もいいかな~と思えたのでした。

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イタリアの上流階級の寡婦の服装で、映画のモデルとなった
愛徳修道女会はこれを修道服にしたんですって。
ベールではなく帽子が可愛い。


 『ある公爵夫人の生涯』
イヤな男を演じるレイフ・ファインズもいい。