お正月のNHKBSはイタリアの大特集(再放送)てんこ盛りだった。
何故に?
今年はイタリア統一150周年なのだとか。

手当たり次第に録画していたものを、家人が寝静まった深夜に見て
は消去していくなかで、これは保存だとディスクに落とした番組が一
つだけある。

『ローマ皇帝の歩いた道(後編) 末路を見つめたハドリアヌス』。
ハドリアヌス帝が、ローマ帝国の隅々までを自らの足で視察して回る
旅に費やした時間は12年。その足跡を辿る旅だ。
アッピア街道から始まる旅の案内人は東大名誉教授の青柳正規氏。
氏の穏やかな語り口が耳に優しく、研究者だけに豊富な知識に基づ
く的確な説明は、かりそめの知識しか持たない私には驚くことばかり。

巨大なローマ帝国の地図を見ただけで仰天なのに、イギリス、トルコ、
アフリカと帝国のいたる地域からローマを目指して張り巡らされた道
路網には、いったいどれだけの人員が、作業が、と気が遠くなってくる。
といったことにはじまり、古代歴史は想像を遥かに超えた驚きの連続
で、まるで小学生に戻った気分となるのだ。

栄光の時を過ごしながらも、帝国衰退の兆しが忍び寄って来るのを
訪れた土地で目の当たりにしたハドリアヌスの旅の終わりは切ない。
ルーマニアのダキア放棄に関して、元老院と世論に屈したハドリアヌス
は孤立していった。
旅を終えローマに戻ったハドリアヌスは、郊外のヴィラ・アドリアーナで
暮らすことが多くなり、特に好んだのは海の劇場と呼ばれる円形の
小さな離れで、晩年は誰もそばに寄せ付けず誰も信用せずに暮らした
という。
哀しさを漂わせた音楽のせいか感傷的になってしまいそうなところを
青柳氏の言葉で救われた。

広大なローマ帝国で、皇帝といえどもどんなに力を振るっても動かせ
ないある種の無力感が、この狭い空間だと逆にすべて隅々まで目が
行き届くということを彼は感じたのではないか。
食堂もあり読書をする場所もあり浴室もある狭い限られた空間での
心地良さを楽しんだと思う。


また読んでみたくなった『ハドリアヌス帝の回想』。
ハドリアヌス、彼の長い長い独白を聴いていたい。
著者マルグリット・ユルスナールの仕事部屋の壁には、ハドリアヌスの
彫像の写真が掛かり、本棚の上にはギリシアの彫刻が置かれている。
この部屋で『ハドリアヌス帝の回想』は誕生したのだ。

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拍手を有難うございました

 AZUママ
  びわ湖ホールでの新年祝賀会、良いスタートとなりましたね。
  その指揮者、まさかの塩田先生だったりして。
  ここのロビーからの眺めは最高でしょ。やみつきになるのです。
  秋のオペラは完売ですね。
  え?花組、また思い切ったことを
  サヨナラ公演だから助けてあげなくてもいいわね。

 たぷろうさま
  年明けからご多忙のご様子。
  お!先をやられた!!どこのメーカーでしょう?レビューを楽し
  みに待ってますからね。
  この間、アンゲロプロスをやっていたので見たのだけど、もう少
  しで終わりというところで、あっ!これ前に見たことあるわと気が
  付いた。ボケをとおりこして痴呆かね